商業登記規則の一部が改正され、本年10月から一定の要件の下で株式会社の代表取締役、代表執行役及び代表清算人の住所の一部を登記事項証明書等に表示されないよう申し出ることができるようになります。
——以下、法務省HPから引用——
制度の概要
代表取締役等住所非表示措置は、一定の要件の下、株式会社の代表取締役、代表執行役又は代表清算人(以下「代表取締役等」といいます。)の住所の一部を登記事項証明書や登記事項要約書、登記情報提供サービス(※)(以下「登記事項証明書等」といいます。)に表示しないこととする措置です。
※登記情報提供サービスとは、インターネットを利用して登記情報を確認することができる制度のことです。詳しくは、登記情報提供サービスのホームページをご覧ください。
※注意※
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合には、登記事項証明書等によって会社代表者の住所を証明することができないこととなるため、金融機関から融資を受けるに当たって不都合が生じたり、不動産取引等に当たって必要な書類(会社の印鑑証明書等)が増えたりするなど、一定の支障が生じることが想定されます。
そのため、代表取締役等住所非表示措置の申出をする前に、このような影響があり得ることについて、慎重かつ十分な御検討をお願いいたします。
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合であっても、会社法(平成17年法律第86号)に規定する登記義務が免除されるわけではないため、代表取締役等の住所に変更が生じた場合には、その旨の登記の申請をする必要があります。
申出の手続等
代表取締役等住所非表示措置の要件
1 登記申請と同時に申し出ること。
代表取締役等住所非表示措置を講ずることを希望する者は、登記官に対してその旨申し出る必要があります。
また、代表取締役等住所非表示措置の申出は、設立の登記や代表取締役等の就任の登記、代表取締役等の住所移転による変更の登記など、代表取締役等の住所が登記されることとなる登記の申請と同時にする場合に限りすることができます。
2 所定の書面を添付すること。
代表取締役等住所非表示措置の申出に当たっては、以下の区分に応じた書面の添付が必要となります。
・上場会社である株式会社の場合
株式会社の株式が上場されていることを認めるに足りる書面
なお、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている場合は、不要です。
・上場会社以外の株式会社の場合
以下の⑴から⑶までの書面
なお、既に代表取締役等住所非表示措置が講じられている場合は、⑵のみの添付で足ります。
また、株式会社が一定期間内に実質的支配者リストの保管の申出をしている場合は、⑶の添付は不要です。
⑴株式会社が受取人として記載された書面がその本店の所在場所に宛てて配達証明郵便により送付されたことを証する書面等
⑵代表取締役等の氏名及び住所が記載されている市町村長等による証明書(例:住民票の写しなど)
⑶株式会社の実質的支配者の本人特定事項を証する書面(例:資格者代理人の法令に基づく確認の結果を記載した書面など)
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合の登記事項の表示
代表取締役等住所非表示措置が講じられた場合、登記事項証明書等において、代表取締役等の住所は最小行政区画までしか記載されないこととなります(※)。
なお、代表取締役等住所非表示措置の対象となる住所は、申出と併せて申請される登記によって記録される住所に限られます。
※ 市区町村まで(東京都においては特別区まで、指定都市においては区まで)記載されます。
代表取締役等住所非表示措置の終了
代表取締役等住所非表示措置が講じられた株式会社から当該措置を希望しない旨の申出があった場合や当該株式会社が本店所在場所に実在しないことが認められた場合などには、登記官が職権で当該措置を終了させることとなります。
なお、代表取締役等住所非表示措置を希望しない旨の申出は、登記申請と同時である必要はなく、単独で行うことができます。